日本株の自動売買ツールを作り始めてから、100株単位や資金制約、損切り、株式分割など、実運用に近づけるためのバックテストを続けてきました。
これまでの開発経緯は、日本株AI自動売買ツール開発記録にまとめています。
前回は、スリッページ0〜20bpを加え、売買時の価格差を考慮しても利益が残るかを検証しました。
今回は実運用へ進む前の最後の大きな確認として、
「約5年間では利益が出ているけれど、運用を始める時期が違っても大丈夫なのか?」
を調べました。
結論:2年間では良好。ただし1年間ではマイナスもあった

今回の主な結果は次のとおりです。
- 2022~2025年は、比較した8条件すべてで毎年プラス
- 前半・後半に分けても、すべてプラス
- 開始時期を1か月ずつ変えた2年間の296パターンは、すべてプラス
- 一方、1年間では最大-4.19%の期間があった
- 2024年の急落時には、資産が一時約19%減るケースがあった
長期では比較的良い結果でしたが、
「いつ始めても安定して利益が出る」わけではありませんでした。
5年間の合計だけでは見えなかった弱点も確認できたので、今回はそこまで含めて整理します。
なぜ期間を変えて調べたのか
5年間の最終資産が増えていても、その利益の大部分を特定の1年や一部の銘柄で稼いでいる可能性があります。
そこで今回は、2021年9月から2026年9月までの運用結果を、
- 年ごと
- 前半と後半
- 開始時期を変えた1年間
- 開始時期を変えた2年間
に分けて確認しました。
※各期間の成績は、その期間の開始時点で資金を初期額にリセットして再運用したものではありません。約5年間の連続した運用結果から、各期間の総資産の変化を切り出して比較しています。
今回の検証条件
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 検証期間 | 2021年9月6日~2026年9月11日 |
| 対象 | 実運用候補の日本株50銘柄 |
| 初期資金 | 50万円 / 100万円 |
| 売買単位 | 100株 |
| 売買方向 | 現物買いのみ |
| 最大保有数 | 4銘柄 / 5銘柄 |
| 売買価格 | 過去の実際の株価を考慮 |
| 売買時の価格差 | なし / 0.05%不利に約定 |
| 手数料 | 0円 |
| 損切り | なし / 利益に合わせて損切りラインを引き上げる方式 |
| 株式分割 | 対応済み |
今回は新しく「一番儲かる設定」を探すための検証ではありません。
これまで作ってきた売買ルールが、特定の期間だけうまくいっていたのではないか
を確認することが目的です。
2022~2025年は8条件すべてで毎年プラス
まず1年ごとの成績を確認しました。
| 条件 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|---|---|
| 50万・4銘柄・損切りなし・価格差なし | +18.25% | +17.43% | +15.46% | +27.50% |
| 50万・4銘柄・損切りなし・0.05% | +22.11% | +11.55% | +15.57% | +38.16% |
| 50万・5銘柄・損切りなし・価格差なし | +21.86% | +25.77% | +13.56% | +36.93% |
| 50万・5銘柄・損切りなし・0.05% | +21.21% | +11.72% | +17.86% | +36.71% |
| 100万・5銘柄・損切りなし・価格差なし | +13.17% | +11.89% | +5.39% | +13.12% |
| 100万・5銘柄・損切りなし・0.05% | +12.65% | +20.08% | +4.62% | +18.67% |
| 50万・4銘柄・利益を追いかける損切り | +20.89% | +16.14% | +16.89% | +32.62% |
| 100万・5銘柄・利益を追いかける損切り | +12.65% | +13.57% | +10.54% | +23.59% |
2022~2025年は、8条件すべてで毎年プラスでした。
ただし、利益率は年によってかなり違います。
例えば100万円・5銘柄・損切りなし・0.05%の条件では、2023年が+20.08%だったのに対し、2024年は+4.62%でした。
長期では利益が出ていても、相場によって稼ぎやすい年と稼ぎにくい年があることが分かります。
開始時期を変えた「1年間」ではマイナスもあった
次は1月~12月という区切りをやめて、開始時期を1か月ずつ変えながら、
「ここから1年間運用していたらどうなったか」
を調べました。
| 条件 | 資産が増えた割合 | 最も悪い1年間 |
|---|---|---|
| 50万・4銘柄・損切りなし・価格差なし | 97.96% | -0.84% |
| 50万・4銘柄・損切りなし・0.05% | 100% | +5.23% |
| 50万・5銘柄・損切りなし・価格差なし | 100% | +6.23% |
| 50万・5銘柄・損切りなし・0.05% | 100% | +6.26% |
| 100万・5銘柄・損切りなし・価格差なし | 91.84% | -4.07% |
| 100万・5銘柄・損切りなし・0.05% | 97.96% | -4.19% |
| 50万・4銘柄・利益を追いかける損切り | 100% | +7.09% |
| 100万・5銘柄・利益を追いかける損切り | 100% | +4.61% |
最も悪かったのは、
2024年2月29日~2025年2月28日の-4.19%
でした。
つまり、今回のバックテストでも、運用を始めるタイミングによっては1年間続けても資産が減るケースがあったということです。
勝率約70%でも資産は減っていた
この-4.19%だった1年間を詳しく見ると、売却まで終わった取引は23回ありました。
結果は、
16勝7敗、勝率69.57%。
しかも、売却済みの取引だけを合計すると利益は出ています。
それでも総資産が減った原因は、まだ売却していない株の含み損でした。
複数の保有株が下落し、その含み損が売却済みの利益を上回っていたのです。
これは今回の検証で特に印象に残った部分です。
勝率が高い=資産が増えている、とは限りません。
実運用でも勝った回数だけではなく、保有している株まで含めた総資産を見る必要があります。
2年間では296パターンすべてで資産が増えた
同じ方法で期間を2年間に広げると、結果はかなり良くなりました。
8条件について開始時期を1か月ずつずらし、37の開始時点×8条件=296パターンを確認した結果、
296パターンすべてで資産が増えました。
各条件で最も成績が悪かった2年間はこちらです。
| 条件 | 最も悪い2年間 |
|---|---|
| 50万・4銘柄・損切りなし・価格差なし | +22.65% |
| 50万・4銘柄・損切りなし・0.05% | +23.02% |
| 50万・5銘柄・損切りなし・価格差なし | +32.19% |
| 50万・5銘柄・損切りなし・0.05% | +24.46% |
| 100万・5銘柄・損切りなし・価格差なし | +5.08% |
| 100万・5銘柄・損切りなし・0.05% | +12.15% |
| 50万・4銘柄・利益を追いかける損切り | +29.68% |
| 100万・5銘柄・利益を追いかける損切り | +19.16% |
もちろん、これは過去約5年間のデータを使った結果なので、
「今後も2年間運用すれば必ず利益が出る」
という意味ではありません。
ただ、約5年間の利益が一部の好調な時期だけで作られていたわけではないことを確認する材料にはなりました。
2024年の急落では資産が約19%減った
良い結果だけではありません。
50万円で検証した条件では、2024年7月11日から8月5日にかけて、資産がピークから約18~19%減りました。
このときは1銘柄だけが大きく下がったのではなく、複数の保有株が同時に下落しています。
4銘柄、5銘柄と分けて保有していても、市場全体が大きく下がる場面では一緒に下落することがあります。
複数銘柄に分けて投資しているだけでは、大きな相場下落を完全には避けられないことも確認できました。
やっとバックテスト終了。次は実運用へ
今回までの検証で、
- 特定の1年だけで利益を出していないか
- 運用開始時期を変えても極端に崩れないか
- 売買時の価格差を考慮しても成績が残るか
- 市場急落時にどの程度資産が減るか
といった部分まで確認できました。
正直なところ、**「やっとバックテストが終わった」**という感覚です。
もちろん完璧ではありません。
配当や税金、信用取引、空売りなど、まだ検証していないこともあります。
ただ、検証しようと思えばいくらでも続けられますし、ここから先はキリがありません。
そのため、バックテストだけで完成度を上げ続けるのではなく、実際の運用に進み、そこで出てきた問題を確認しながら修正していくことにしました。
次に作るのは、さらに利益率を上げるための売買ルールではありません。
- 同じ注文を二重に出さない
- 資金が足りなければ注文しない
- 保有株や注文状況を正しく把握する
- データがおかしいときは売買しない
- 問題が起きたらすぐ停止できる
といった、実際のお金を扱うための仕組みです。
いきなりすべてを自動化するのではなく、まずは実際のお金を使わずに注文処理を確認し、その後、50万円程度の少額から実運用へ進む予定です。
まとめ
約5年間のバックテストを期間ごとに調べた結果、開始時期を変えた2年間の296パターンはすべてプラスでした。
一方、1年間では最大-4.19%、市場急落時には資産が約19%減るケースも確認できました。
バックテストは完璧ではありません。
それでも、実運用前に確認したかった大きな問題は一通り検証できたと考えています。
これ以上「完璧なバックテスト」を目指すのではなく、ここからは実際に動かすためのツールを作り、少額で運用しながら改善していきます。
KABU BUILDの自動売買ツール開発も、ここでバックテスト編を終え、実運用編へ進みます。
※本記事に掲載している結果は、過去の株価データを使ったバックテストです。将来の運用成果を保証するものではありません。



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