株の損切りは何%が目安?5%・10%・15%・20%でバックテストした結果

AI×決算・銘柄分析

株の損切りは何%に設定すればいいのでしょうか。

5%なら損失を小さく抑えられますが、少し下がっただけで損切りになる可能性があります。

逆に20%まで許容すれば値動きには耐えやすくなりますが、本当に下落したときの損失は大きくなります。

そこで、実際の日本株の過去データを使い、損切りなし・5%・7%・10%・15%・20%の条件を比較しました。

結論:今回の検証では15%が比較的バランスの取れた結果

最初に結果から紹介します。

損切り設定取引回数勝率平均損益率中央値最大損失平均保有期間
なし22476.3%+8.23%+6.32%-61.30%40.12日
-5%49638.7%+3.20%-5.00%-20.84%14.66日
-7%41847.1%+3.82%-7.00%-20.84%18.76日
-10%35558.0%+4.90%+4.74%-21.74%23.57日
-15%30269.2%+6.14%+6.44%-22.20%28.76日
-20%26972.1%+5.97%+6.27%-31.27%32.52日

今回の条件では、損切りを浅くすればするほど良いという結果にはなりませんでした。

5%では最大損失を抑えられた一方、勝率は38.7%まで低下。

20%では勝率72.1%まで回復しましたが、最大損失は-31.27%まで拡大しました。

その中間となる15%では、

  • 勝率:69.2%
  • 平均損益率:+6.14%
  • 中央値:+6.44%
  • 最大損失:-22.20%

となりました。

今回の検証に限れば、利益になる取引をある程度残しながら、大きな損失を制限するという点で15%が比較的バランスの取れた結果でした。

ただし、「株の損切りは15%が正解」という意味ではありません。

なぜそう考えるのか、実際の取引データを詳しく見ていきます。

今回の検証条件

今回の検証条件は以下のとおりです。

項目条件
対象日本株20銘柄
検証期間約5年間
元となる売買224取引
売買タイミングシグナル発生の翌営業日始値
損切りなし / -5% / -7% / -10% / -15% / -20%
売買方向買いのみ

今回の記事で比較しているのは、個々の取引に固定の損切りを設定した場合の成績です。

初期資金100万円などの資金制約を設けたポートフォリオ全体のバックテストではありません。

そのため、この記事では「何%で損切りすると個々の取引結果がどう変わるか」に絞って見ていきます。

※翌営業日の始値が損切り価格を下回っていた場合は、その始値で売却する条件です。そのため、実際の損失率が設定したSTOPを超える場合があります。

損切りなしでは最大-61.30%まで下落した

まず、損切りを設定しなかった224取引では、

  • 勝率:76.3%
  • 平均損益率:+8.23%
  • 最大利益:+118.25%
  • 最大損失:-61.30%

という結果でした。

勝率や平均損益率だけを見ると悪くありません。

問題は最大損失です。

仮に100万円の投資が61.3%下落すると、残るのは約38.7万円です。

そこから100万円まで戻すには約158%の上昇が必要になります。

平均的に利益が出ていても、一度の大きな損失が資産形成に与える影響は無視できません。

そこで固定の損切りを設定しました。

では5%で早めに損切りすればいいのか

ここで単純に、

「大きく負ける前に5%で切ればいい」

とはなりませんでした。

理由は、最終的に利益になった取引も途中ではかなり下落していたからです。

損切りなしで最終的に利益となった171取引について、保有中に買値からどこまで下落したかを調べました。

一時的な下落率該当した勝ち取引
-3%以上118回
-5%以上92回
-7%以上72回
-10%以上41回
-15%以上18回
-20%以上8回

勝ち取引の最大逆行幅(MAE)は、

  • 平均:-7.05%
  • 中央値:-5.51%

でした。

※図中の+20%・-15%はMFE・MAEの考え方を説明するための例であり、今回のバックテスト結果を示したものではありません。

つまり最終的に利益になった171取引のうち、92取引は途中で5%以上下落しています。

さらに41取引は、一時10%以上下落してから最終的に利益になりました。

浅い損切りは損失を小さくできますが、通常の値動きまで損切りしてしまう可能性があります。

負け取引は平均で約23%逆行していた

一方、最終的に損失になった53取引では、

  • MAE平均:-22.96%
  • MAE中央値:-21.99%

でした。

さらに、

下落率該当した負け取引
-10%以上47回
-15%以上41回
-20%以上29回
-30%以上14回

となっています。

負け取引53回のうち47回は、一度-10%まで下落しています。

しかし、先ほど見たように勝ち取引にも一時-10%まで下落したものが41回あります。

つまり、「10%下がった」という事実だけで、その取引が最終的に負けるとは判断できません。

ここに損切り幅を決める難しさがあります。

-5%では勝ち取引まで切りすぎた

-5%STOPでは、

  • 勝率:38.7%
  • 平均損益率:+3.20%
  • 最大損失:-20.84%

となりました。

最大損失は大幅に改善しています。

しかし、損切りなしなら利益になっていた取引のうち91取引が途中でSTOPにかかりました。

今回の売買ルールに対しては、5%では通常の値動きまで損切りしてしまうケースが多かったと考えられます。

-10%でも勝ち取引41回がSTOP

-10%まで広げると、

  • 勝率:58.0%
  • 平均損益率:+4.90%
  • 最大損失:-21.74%

まで改善しました。

ただし、元の勝ち取引のうち41取引が途中でSTOPにかかっています。

5%よりは余裕がありますが、それでも今回の売買ルールでは利益になる取引をかなり途中で終了させています。

-15%では利益と損失制限のバランスが改善

-15%では、

  • 勝率:69.2%
  • 平均損益率:+6.14%
  • 中央値:+6.44%
  • 最大損失:-22.20%

でした。

損切りなしの平均損益率+8.23%には届きません。

一方、最大損失は、

-61.30% → -22.20%

まで縮小しました。

また、元の勝ち取引のうちSTOPにかかったのは18取引です。

今回の検証では、浅いSTOPよりも勝ち取引を残しつつ、大きな損失を制限できる結果となりました。

-20%では勝率は上がったが最大損失も拡大

-20%では勝率72.1%まで上昇しました。

一方、最大損失は-31.27%です。

15%STOPの-22.20%より大きくなりました。

STOPを深くすると通常の値動きには耐えやすくなりますが、本当に下落したときの損失も大きくなります。

今回の結果からも、

浅すぎるSTOP → 勝ち取引まで切りやすい

深すぎるSTOP → 大きな損失を許容しやすい

というトレードオフが確認できました。

損切りは「何%が正解」ではなく売買ルールに合わせる

今回の検証だけを見れば、15%が比較的バランスの取れた結果でした。

ただし、すべての株に15%STOPを設定すればいいわけではありません。

銘柄の値動きや売買ルール、保有期間が変われば、適切な損切り幅も変わる可能性があります。

今回の検証から重要だと感じたのは、固定された数字をそのまま使うのではなく、

  1. 勝ち取引が途中でどこまで下落しているか
  2. 負け取引はどこまで下落しているか
  3. STOPによって勝率や平均損益がどう変わるか
  4. どの程度の最大損失まで許容するか

を過去データから確認することです。

まとめ

今回、日本株20銘柄・224取引を対象に、損切りなしから-20%まで固定STOPを比較しました。

結果として、

  • 5%では勝ち取引まで損切りするケースが多かった
  • 10%でも元の勝ち取引41回がSTOPにかかった
  • 15%では最大損失を抑えながら勝率69.2%を維持した
  • 20%では勝率は上がったが最大損失も拡大した
  • 損切りなしでは最大-61.30%の取引が発生した

という違いが確認できました。

今回の条件では15%が比較的バランスの取れた結果でしたが、重要なのは「15%」という数字そのものではありません。

自分の売買ルールで実際にどの程度の逆行が発生するのかを確認してから、損切り幅を決めること。

これが今回のバックテストから得られた一番大きなポイントです。

固定STOPを実装した開発過程や、MFE・MAEの詳しい検証については以下の記事でまとめています。

→勝率76%でも安心できない。AI株バックテストに損切りを実装した結果

※本記事は特定の銘柄や投資手法を推奨するものではありません。掲載しているバックテストは過去の株価データを用いた検証であり、将来の運用成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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